「徳右ェ門 古今つれづれ語り」第三話

  • 2009.11.05 Thursday
  • 17:55
「徳右ェ門 古今つれづれ語り」第三話●「お酉さま」●

小間物屋徳右ェ門でございます。
長月も半ばにさしかかり・・・おや!そう言えばこちらの暦ではすでに霜月、11月といえば「酉の市」でございますなあ〜。
皆様、「酉の市」という言葉を耳にしたことはございますでしょうか?江戸の人々は親しみを込めて「お酉さま」とも呼んでおります。

11月の酉の日に鷲(おおとり)神社にお参りして、一年間の武運・開運・商売繁昌を祈願してオカメ面のついた熊手を授けてもらうその賑わいは、年末に向う江戸の風物詩でございますが、こちらでもその光景は変わらぬようでございます。今年は酉の日が2回あるので「二の酉」までですが、「三の酉」まである年は火事が多いから気をつけなさいと昔からなぜか言われたものでございます。なぜかって?そう言われましても、私も子供ん時から祖父母や親にそう聞かされて育っておりもしたんで、あまり深く考えずにそういうもんだと・・・。気になるお方はそのような事を調べてらっしゃる学者先生の書いた書物など探してお読みいただければと思います。おおとり神社の名にしても「鷲」と「大鳥」2通りありますし、在所在所や時代によって謂(いわ)れや伝えも異なるようでございます。我が家では「お酉さま」は年中行事の一つですので細かい事はあまり気にせず毎年欠かさず熊手をいただきに詣でており、これをしないと年の瀬が迎えられない気がいたします。
遠い昔はどうだったかはっきり覚えておりませんが、私の新しい記憶によりますと、熊手には神社で授ける小ぶりな物と、境内やその周辺に立つ露店に並ぶ大小様々な物があり、何か商売をしている者はその商売が年々大きくなることを願い毎年少しずつ大きな熊手に買い換えていたようでございます。子供の頃、家が商売をしていた時分は露店の大きな熊手を求めておりましたが、親が商いを辞めて以降久しくは神社で授けてくださるシンプルな熊手のみをいただいておりました。
立ち並ぶ露店に、大小色とりどりの熊手が所狭しと並び売られる光景は、見ているだけで何やら縁起が良くなる心もちがいたしますが、いざ自分で買うとなると少々勇気がいるかもしれません。かく言うわたしも独り立ちして商いを始めた年、商売繁昌の縁起を担いで昔のような熊手を買おうと露店の前に意気揚々と足を運んだものの、一体どの大きさから買い始めたらよいのか分からずにオロオロとしたものでございます。
ただ頭の中には、買った熊手を高く掲げる私達家族に露店の親方がカチカチと火打石を切って「家内安全、無病息災、商売繁昌、ま〜すます繁昌〜!!」と威勢良く唱えた後、露店の人全員で三三七拍子を景気よく打ってくれた子供の頃の記憶が浮かんでおりました。ふと、眼の合ったある露店のかっぷくの良い初老の頭(かしら)に、商いを始めたので熊手を買い始めたいが何をどうしたらよいか皆目わからないと勇気を出して正直に聞いてみると、よしきた!とばかり、縁起物を買う心得をまるで親父のように一から教えてくれたのでございます。それからは、その頭(かしら)のお店で毎年か欠かさず熊手を買い続けております。買い始めて何年かすると、私の商いの屋号が書かれた木札を熊手に挿してくれるようになりました。その時の嬉しさといったら今でも覚えておりますなぁ。おかげさまで熊手とともに商売も年々大きくなり、熊手の大きさも家に飾れる限界となりました。ここ数年は現状維持の大きさの熊手を買い換えておる次第でございます。

こんな話を何年か前にうちの職人母娘にしたことがございました。感心しきりで聞いていた娘のほうは、どうやらその後こっそりと自分で何やら「商い」を始めた様子、お酉さまの日が来ると、いそいそと自分用の熊手を買いに出かけているようでございます。
今のところ見て見ぬ振りをしておりますが、いずれいつの日か私の熊手の大きさを超えて欲しいと願いつつ今年もまた酉の市を迎える今日この頃でございます。

おやおや、すでにこんな時間!年の瀬が近づき何かと忙しいこの時、こちらでのんびりしていては怒られそうでございます。
それでは皆様、これにて失礼いたします。

*職人(娘)からの一言・・・旦那様にはもうバレバレのようですので、思い切ってMy熊手の画像をお見せしちゃいます!(ちなみに今年は11/12が一の酉、11/24が二の酉です)

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